理事長所信

2023年度 公益社団法人浦安青年会議所
第45代理事長 中島 慧

理事長 中島慧
【スローガン】
前へ!

|はじめに

浦安市は、その面積の4分の3を埋立地によって構成されたまちで、埋め立ての時期ごとに地域に新しい住民を受け入れてきました。その都度新しい価値観が流入し、この土地に根付いていきました。
 私自身も結婚を機に浦安に縁を持った新しい住民であります。外から来た人間として、浦安を客観的に見つめ、子どもの教育に適した地か、文化・教養を学ぶ機会が得られるか、仕事の環境はどうか、終の棲家としてふさわしいかを判断し、浦安で暮らすことに決めました。しっかりと検討した後、自信を持って決断したからこそ、浦安に生まれ育った人に対して、浦安を想う気持ちには引けを取らないつもりでいます。
 しかしながら、一口に浦安を想う気持ちと言っても、人によって、その人の持つ背景や環境の違いから、同じ想いを持っているわけではありません。むしろ時には、アプローチの違いから想いの上で対立するように見える人たちが出てくる場面もあるかもしれません。まさに十人十色の郷土愛を持って暮らしています。全ての市民が互いに尊重し合いながら、よりよいまちづくりのために一様に前へ踏み出すことが、明るい未来へ続く第一歩となると考えます。
 とりわけ、浦安は市外からの転入者が多いからこそ、多様性溢れる人財が多く、その連携によってこれまで以上に浦安市を盛り上げていける可能性に満ちています。その可能性を最大限に花開かせ、市民一人ひとりにとってのまちへの想いを形にしていくためには、市民が地域に目を向けていくための求心力のあるコンテンツが必要です。そのコンテンツを地域に根付いた文化として育てることで、当事者意識と地域間交流を涵養する場をつくることができます。そして、このような仕組みを作っていくことができることが、私たち青年会議所の強みです。市民一人ひとりが個性を活かして互いに交流しながらより良い未来につなげていくために、本年度は、多くの当事者と共に運動を展開して参ります。
 浦安青年会議所はその歴史の中で過去から引き継いできた経験や知識、そしてそれを積み重ねて頂いたOB・OGの皆様といった沢山の財産を持っています。その財産に加え私たち現役メンバーの若さを持ってすれば、解決出来ない課題は少ないはずです。若さとはすなわち、理想を掲げその理想に向かって動く行動力です。過去から学び、しかし過去に捉われず、しっかり前を見据え一歩一歩着実に前進していくことこそが明るい豊かな社会に続く唯一の道であると考えます。
 多くの当事者と手を取り合い、誰一人取り残すことなく、前へ!

|持続可能なまちづくり

青年会議所は、地域課題を解決し、「明るい豊かな社会」へと導く団体です。では、地域の課題とは一体何なのか、今の浦安市に求められているものは何か、私も幾度となくこの疑問に向き合ってまいりました。
 数年前までは新型コロナウイルスの災害級の感染拡大など誰も想像もしませんでした。2011年に起こった東日本大震災も同様で、誰も予想もできないような災害がここ十数年で何度も起きています。2018年に実施された「市政に関する市民意識調査」では、市民が求める重視すべき施策として「震災対策」が最も高い結果となりました。災害への対応としては、私たち浦安青年会議所は2011年に災害ボランティアセンターにおいて中心となって活動し、さらに2016年には浦安青年会議所と浦安市及び浦安市社会福祉協議会との災害時の三者協定を結びました。しかし、それでもまだ私たちの予想をはるかに超えた災害が起こる可能性に対して備えていく必要があります。
 あらゆる未来を想定しなければならない今だからこそ、私たち青年会議所は未来を見据えたまちづくりを行っていく必要があります。未来を見据えたまちづくりとは、市民自身の社会課題に対する当事者意識を醸成していくことです。これからの未来においては、いつどんな災害が起こるかわかりません。予想もできない未来のために、未来の当事者とともに備える必要があるのです。そして、その未来の当事者というのは、決して私たち青年会議所のメンバーだけに限りません。浦安市で暮らす全ての市民やその先の世代、さらにその先の先の世代まで含まれます。いくら月日が経とうとも、浦安を繋いでいくために、私たちには主体性のある人財を増やさなくてはなりません。自分自身が身を持って経験したことほど、主体的な学びとなります。私たちは、この青年会議所に入会したことで、まちづくりを真剣に考え始めました。但し、本来この経験は、私たち青年会議所メンバーにしかできないことではありません。私たちだけでなく、次の世代にも機会を提供し、この経験を伝承していかなければなりません。そして当事者意識を持って人財を前へ繋げていくことが、持続可能なまちづくりであると私は定義しております。私たちは本年度、市民の当事者意識を醸成し、持続可能なまちづくりへとつなげていきます。

|誰一人取り残さない組織づくり

青年会議所メンバーは、20歳から40歳までで構成されているという共通した属性があります。逆を返せば、職業や働き方もそれぞれに異なる人財の集団です。また、結婚や出産を機に家庭状況も大きく変わる年代でもあります。個々人の抱える状況は一様ではなく、誰もが皆同じように青年会議所の活動に対してコミットし続けていくことはとても難しいことでしょう。
 どのようにしたらすべての人が最適な「ワークライフJCバランス」を保つことができるのでしょうか。そのヒントの1つとなるのが、昨年認証することができた『育LOM宣言』です。「家庭の時間とJCを分けるのではなく、家族と一緒にJCの素晴らしさを分かち合う。」とても素晴らしい発想のもとの改革です。しかし、従来の家庭の時間とは別の時間としてのJCを前提とした仕組みが残っている中では一足飛びに解決できるものではありません。ここにおいてはまだ、仕組みや考え方を前へと進める余地があります。
 ではどうすれば、青年会議所活動に対して、一人ひとりの心を満たすことができるのでしょうか。それは、メンバーの志しを青年会議所に対する活動量のみで評価しないということです。
 具体的に述べると、週に2回も3回も活動ができるメンバーがいれば、週に1回しか活動できないというメンバーもいます。あるいは、月に1回が限度だというメンバーもいるでしょう。このような差が生じてしまうのは、当然のことであり、大事なことはこれを許せる風土が組織のなかにあるかないかにあります。「許す」とは受容するということで、面と向かって真正面から受け止めるということです。同じ青年会議所の正会員であるのに、活動量に対して差が生じてしまうということはあり得ます。その時は誰かが重責を負い、また他の誰かがその重責を背負わせてしまったと負い目を感じています。一度負い目を感じて、青年会議所から距離を取ってしまうと、余程のきっかけがなくては戻りづらくなってしまいます。そうはさせない環境づくりが求められています。
 誰一人取り残さない組織づくりのためには、まず、青年会議所メンバーとしての最大の事業発信の場である例会の機会をすべてのメンバーに提供する必要があります。その上で心理的安全性を確保するため、青年会議所メンバー一人ひとりの生活環境に寄り添っていく必要があります。あらゆるレベルにおいて包括的で代表的な意思決定を確保する総会では、すべてのメンバーに議決権を行使する権利がありますが、家庭や社業の事情によっては必ずしも出席できるとは限りません。それらの事情を受け入れ、活動できる限られた時間でいかに信頼を築き、仲間としての絆を深めることができるのかに焦点を充てることが肝要です。そのような個人の都合を受け入れる風土が必要です。このような風土は、青年会議所だけではなく、当然会社経営にも必要なことであります。この許容する経験も自己成長に繋がります。「許す」とは、他者のためではなく、自分のために行うものと考えれば、他者をコントロールしようとする概念そのものがなくなり、安定した充足感を感じる精神性へと昇華していくことができるでしょう。

|求心力のあるコンテンツ

青年会議所の一番の魅力はどこにあるのかというと、それはやはり「魅力的な事業」そのものにあるのではないでしょうか。独創的な事業を構築する際には、仕事とは異なる自由な発想で、空想的な想いを馳せ高揚感を抱くことがあります。また、青年会議所が全国各地で新たな文化を立ち上げ、今や地域に欠かすことのできないイベントやお祭りとなった例は数え切れません。しかし、浦安市では、新たな文化の創造を目的に開催されたウラヤスフェスティバルが終了し、浦安市全域を巻き込んだイベントも年々減少しています。前述した通り、浦安市にはこれまで以上に浦安市を盛り上げていける潜在的な能力が眠っており、その能力を最大限に発揮すべく、市民一人ひとりにとっての「社会への貢献」を呼び起こしていくためには、人々が地域に目を向けていくための求心力のあるコンテンツが必要なのです。そして、そのような求心力のあるコンテンツをこの浦安市に新たに立ち上げるとすれば、まさに今がその時期です。新型コロナウイルスという長い夜がようやく明けようとしています。今こそ、私たち青年会議所が持続可能なまちづくり、そして自主性あるひとづくりのために前へ進むべき時なのです。

|まずは自分たちが楽しく元気に

多くの人を巻き込んだ「魅力的な事業」を実現するために一番大切なことは、組織内の枠を超え行政・他団体と連携することやOB・OG諸兄姉と強い絆を結ぶことにあります。青年会議所運動を青年会議所が投げかけた一点から波状に広げていくためには、運動の趣旨を理解し手を差し伸べてくれる仲間が必要です。どんなに困難な状況においても、先を見つめ前へ進もうとする姿は人を惹きつける力があるでしょう。その姿は見る人にとっては楽しそうにすら映るかもしれません。そうして共感してくれる仲間と手を取り前へ進むことがより多くの人を巻き込むことに繋がってゆくと考えます。
 長い新型コロナウイルス感染症の流行という未曾有の事態によって、人々の活力が奪われてきました。明けることのない夜が続いているような感覚になる時すらありました。ようやく長い夜が明けようとしている今だからこそ、私たち青年会議所が本領を発揮する時期です。私たち青年会議所が誰よりも元気でいることが、このまちの人々へのエネルギーとなり、まちに活力が生まれるのです。40歳までという限定的な時間である青年会議所の貴重な時間を大いに楽しみましょう。そして、私たちの元気を、まずは先輩諸兄姉にお届けしましょう。青年会議所は「人生最後の学び舎」とも言われています。人生最後の学び舎は、どんなことがあっても前を向いて笑って終える。それが、青年会議所を全うした証であります。

|むすびに

――青春とは心の若さである

 サミュエル・ウルマンの有名な詩「Youth」を岡田義夫氏が見事に訳したその冒頭の言葉です。私は同じ詩を作山宗久氏が訳した次の一節に特に感銘を受けます。

青春とは臆病さを退ける勇気

やすきにつく気持ちを振り捨てる冒険心を意味する。

ときには、20歳の青年よりも60歳の人に青春がある。

年を重ねただけで人は老いない。

理想を失うときはじめて老いる。

 私たち青年会議所メンバーは誰よりも高い理想を持っています。その点において誰よりも若いと言えます。自分が理想を失うことがなければいつまでも若くいられます。青年会議所運動には終わりがありません。持続可能な仕組みを持って、いつまでもこの理想を降ろさないようにしなければなりません。
 本年度は様々な立場の方と連携し高い理想に向かって前進して参ります。
 過去から受け継いだ全ての英知と勇気と情熱を持って、

前へ!

|事業計画

1.誰一人取り残さない組織の確立
2.持続可能なまちづくりの基礎を培う事業の実施
3.国際社会に向けた自主性ある青少年育成事業の実施
4.求心力のあるコンテンツを創造する事業の実施
5.青年会議所の元気を発信させる事業計画発表会の実施
6.メンバー全員で達成する12名の会員拡大
7.第36回わんぱく相撲浦安場所の開催
8.OB親睦会の開催
9.総会の開催
10.卒業式の開催
11.SDGsの推進
12.友好団体との連携・協力
13.公益社団法人日本青年会議所への積極的な支援・協力
14.公益社団法人日本青年会議所、関東地区協議会、 千葉ブロック協議会の諸会議・諸大会・諸事業への 積極的な参加