2016年度3月例会案内・理事長対談VOL.3(玉田 俊平太教授×理事長 西川嘉純)

来週3月16日水曜日は3月第一例会「しゅんぺいた教授と学ぶイノベーションの教室」が
開催されます。

今回はメンバーや参加者の皆様に、青年経済人として仕事にも活かせるような内容を、
ということで「イノベーション」をテーマに行うビジネス研修となっています。

講師に関西学院大学経営戦略研究科副研究科長 玉田 俊平太教授をお招きし、厳しい
時代に伸び続けている企業は何が違うのか?幾つかの事例をお話頂きながら、イノベー
ションの手法や考え方を皆様と学びたいと思っております。

例会をより堪能して頂けるよう、事前に玉田教授とお会いし、見所を語ってきました。
今回はそちらを配信させて頂きます。

若干お席にまだ余裕があるようです。ぜひ社員さんやご友人などお誘いあわせの上、
ご参加ください。

理事長 西川嘉純

【3月例会案内・担当委員会委員長挨拶】

事業名:しゅんぺいた教授と学ぶイノベーションの教室
開催日時;2016年3月16日(水曜日) 18:30~20:30
場所:サンルートプラザ東京 2階マグノリアホール
募集形態:事前登録制(定員150名)

セミナー概要:
とかくわかりにくいイノベーションという概念を分かりやすく解説し、かつ中小企業だからこそできる破壊的イノベーションの手法に言及する講演です。講演に付随して個人ワークで内容確認もあります。
日経ビジネスオンラインで大好評連載中のしゅんぺいた教授が満を持して登場です。
無料でこのボリュームは来場必須!!

魁‼イノベーター委員会 委員長 久保谷豊

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【対談PDFデータ】

理事長対談vol.3(玉田俊平太教授×理事長 西川嘉純)

【理事長対談記事vol.3】

3月第一例会「しゅんぺいた教授と学ぶイノベーションの教室」
講師 関西学院大学経営戦略研究科副研究科長 玉田 俊平太教授×理事長 西川嘉純

理事長 西川(以下西川):本日は貴重なお時間を頂きありがとうございます。
日経ビジネスオンラインで連載中の「しゅんぺいた博士と学ぶイノベーションの兵法」毎回楽しみに拝見させて頂いております。

玉田俊平太教授(以下玉田):ありがとうございます。
著書「日本のイノベーションのジレンマ」の内容を基に新たな事例を加え、通勤途中でもスマートフォンなどでイノベーションについて学べるものをと意図して書いております。

西川:とてもわかりやすく読みやすいですよね。次号も楽しみにしております。
さて、3月16日にご講演頂くにあたってメンバーや参加者に、講演ではこういう話をしますよという前振りのような話が出来ればと思いましてこのような対談の場を作らさせて頂きました。

どうぞよろしくお願い致します。

玉田:こちらこそよろしくお願い致します。

西川:よく聞かれる質問かとは思うのですが、まさに先生のお名前がイノベーションを定義されたJ.シュンペーターと同じということで、イノベーションに関わるべくして生まれてこられたかのように感じられるのですが、どのようにイノベーションの研究に関わられるようになったのですか?

玉田:そもそもこの名前は父が一橋大学で経済学を学んだことから、私が生まれたときに勢い余って「ヨーゼフ・アロイス・シュムペーター」というイノベーション研究の泰斗の名字を、名前に着けちゃったんです。

確かに“マルクス”とか“レーニン”とかつけられるよりはましだったとは思いますけど、それでも相当なキラキラネームですよね。やっぱり経済学者の名前なんか付けられた子供は経済学は食わず嫌いになるものでして、大学も理科系を選びました。ただ、地道に研究するより世のため人のためになりたいと思い、文系就職して通商産業省(現経済産業省)に入り、産業政策立案のための知識を学びたくてアメリカに留学しました。

西川:笑。なるほど。

玉田:留学先で国際シュンぺーター学会の初代会長であるフレデリック・M・シェーラー先生の講義に出会いました。この体験は今までの価値観がガラッと変わるようなとても魅力的な講義だったんです。先生が授業中すごく楽しそうに「イノベーションは自分で起こすだけではなくて、人からもたらされるイノベーションもある」といったお話に、イノベーションは何でも自分でやらなきゃいけないという概念がめきめきと音を立てて壊れていく感覚がすごく快感で、留学から帰った後に、さらに勉強を深めたいと思ったので、あらためて東大の博士課程に入学しました。

西川:先生にとって留学先での体験はすごく刺激的なものだったんですね。

玉田:ええ。その結果、いい意味で親の因果が子に祟って、結局はイノベーションを生業にして今に至ります。

西川:先生が学ばれてこられて、著書にもされているクリステンセン教授のイノベーション理論の特徴というか他の理論と大きく違う部分はどんなところなんでしょう。

玉田:一番のポイントは「破壊的イノベーション負かされた企業は、経営を間違えたがゆえに負けたのではなく、経営を正しく行ったゆえに負けた」という、ものすごく直観に反することを言っているところです。

それを理路整然と論証して見せて世の経営者の度肝を抜いたというところが一番大きいポイントです。

たとえばIBMがミニコンに負けたのはIBMの社内が官僚的だったからであるとか、新しい技術に対する資源が足りなかったからだ、などのように「~でなかったからだ」という理論が多かったところに、なんとIBMは正しく経営していたがゆえに失敗したのだというところがこれまでの経営学とは一線を画すところだと思っています。

西川:私もご著書を読ませて頂いて「なるほど、だから大企業がイノベーション出来ずに新興企業の前に力を失っていくのか」という、まさに「イノベーションのジレンマ」を感じ、目からうろこでした。

詳しくはご講演の中で触れて頂くのだと思いますが、イノベーションのジレンマの中で市場が塗り替えられる様はとても衝撃的でした。しかし、そこにはチャンスがある。

玉田:まさにその通りですね。

西川:ところで最近の日本企業は外国の企業に比べ、元気がないように感じられるのは理論からいうと成熟しきってしまった企業が増えてきてしまったのか、それとも日本人はあまりイノベーションが得意ではない人種なのか、どちらなのでしょう。

玉田:それはやはり日本社会が成熟の度合いをまして皆がほぼほぼ豊かになってきてしまったことが大きな理由だと思います。

破壊的なイノベーションを起こせる組織がどんな組織かというと、既存の大企業が美味しくないと思うような、あまり食べても栄養(利益)がないように見える領域に活路が見いだせるようなコスト構造が小さい組織だったり、あるいはほかの企業が見向きもしないような顧客を見出せる、自分たちは他の企業と一緒の行動はしないとミッションとして定めているような組織だったりするんですよ。

たとえば1946年5月7日のソニー設立式での挨拶で、共同創業者の盛田氏はこう述べています。
「大きな会社と同じことをやったのでは、我々はかなわない。しかし、技術の隙間はいくらでもある。我々は大会社ではできないことをやり、技術の力でもって祖国復興に役立てよう。」
この挨拶の中には、既存大企業のマーケットで正面から闘うのではなく、新しい技術を使って新しい顧客をターゲットにしよう、すなわち、「新市場型の破壊的イノベーターになろう!」というソニーのビジョンが込められているとおもいます。

西川:会社のDNAの中に破壊的イノベーションが組み込まれているんですね。

玉田:そうです。

でもそのソニーですら今や大企業となり、ボリュームがある、すなわち工場の稼働率があがり、売り上げがたくさん立つ、こうした予測の立てやすい領域に向いつつあって、ちょっと前まですごく伸び悩んでいましたよね。

最近、それではやっぱり駄目だと「キックスターター」なんかを使ってソニーという社名を隠してまで市場の反応を見てみるとか、これまでのデジカメからファインダーを取り外した、まるでレンズのようなデジタルカメラを創ってみたりと、創業時の原点に返って復活の兆しを感じるところまできました。

※キックスターター:クラウドファンディングによる資金調達を行う手段を提供する会社

西川:先生のご著書の中には日本企業のイノベーションの事例がたくさん載っていますが、やはり会社が大きくなって、社内の調整であるとか株主の顔色を窺うようになると、次第に破壊的イノベーションが起こしにくくなっていくということですね。

玉田:企業の経営者は、顧客満足を最大化し、株主へのリターンを最大化するという制約条件の中で経営しているわけです。

そうすると、今現在の顧客が求めず、利益率も低く、どのくらい売れるかもわからな壊的イノベーションは、どうしても組織の中を通り抜けることが出来ないことになります。これは、経営者の優劣ではなく、持続的イノベーションと破壊的イノベーションは、経営のモードが違うんです。レースに例えれば、超高速ドライビングが求められるF1と道な貴道を駆け抜けるラリー位違うと思っていいでしょう。

そういうわけで、大きな企業が破壊的イノベーションを起こすには、別の組織に切り分けるなりしてイノベーションに特化した組織を作らないとたぶん無理でしょう。

西川:そうすると経営者がそういう視点をもって経営するなりするとイノベーションは起こりやすいということでもありますよね。

玉田:イノベーションは実をいうと学べるんです。だからこそ今回、浦安青年会議所さんで講演させて頂く話になるんです。

簡単に内容に触れますと、イノベーションには種類があって持続的なイノベーションは今までうまくいっていたことを今まで以上にうまくやるというイノベーションです。多くの会社が得意としていてマネージメントツールもたくさんあるのが特徴です。
それに対して破壊的なイノベーションはこれまでの顧客に見せたら「そんなものいらない」と言われるようなサービスや商品のイノベーションです。最初はお客様がどこにいるかも分からないような探索的なマーケティングをして、その成長を長い目で見られるような組織が必要なのが特徴です。

西川:ご著書の中のiPhoneやQBハウスの事例は興味深かったです。
大きな企業のイノベーション事例っていうのはたくさんあるかと思うんですが、中小企業はイノベーションをしやすいのかしにくいのはどうなんでしょうか。

玉田:たとえば、燃料電池自動車のような持続的イノベーションを、従業員30人の会社が作ろうと思うと実際のところかなり大変だと思います。エレクトロニクスや機械、素材分野など数多くの技術分野の開発力が必要で、かなりのリソースが必要になります。さらに、それらを結集して安全規制をクリアして完成車を仕上げるためにはものすごい労力がかかります。もちろん不可能ではありませんが、グローバル企業がひしめく巨大な市場に打って出るのは、総力戦になるでしょう。

中小企業が目指すべきなのは、消費者が何かやりたいことがあるけれど、何らかの制約で出来ずにいるようなことを見つけて、そこに対して新しい製品やサービスを提供していくという新市場型の破壊的イノベーションがいいでしょう。多くの場合、こうしたところには大企業が入ってこれないので、打って出るには中小企業が適しています。

マネージメントの考え方次第でしょうが、今まで通りのやり方や顧客に言われた通りに安くちゃんと作っていくんだということですと、今後、アジアの国々に太刀打ちできないのかなと。

やはりコスト構造で勝負するよりは、差別化で勝負できるようにならないといけないのではないかと思います。

西川:ありがとうございました。マーケットが成熟した中でも、中小企業や新興企業にとってはチャンスが広がっているということですね。
ぜひ今回の講演を聞いた参加者が、イノベーションに向かうマインドなってくれるといいなと思っています。

玉田:経営の話は多少抽象度が高い話になるかもしれないですが、自分の事業に当てはめたらどうだろうと考えやすくなるようにワークも用意しています。
ありがとうございました。

西川:楽しみにしています。当日、よろしくお願い致します。

対談場所:関西学院大学 西宮上ノ原キャンパス 玉田研究室
日時:2016年2月29日

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